会話劇か展開力か… 日本ドラマ界が抱える大きな問題 『いちばんすきな花』大ヒットで“台詞”の強さに再注目も

画/彩賀ゆう (C)まいじつ

現在放送中のドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ系)の快進撃が注目を集めている。

「男女の間に友情は成立するのか?」をテーマに、全く違う人生を歩んできた4人が交錯するオリジナル作品。昨年フジテレビ系で放送されたヒットドラマ『silent』の村瀬健プロデューサーと脚本家・生方美久氏が再びタッグを組んでいる。

「『silent』が大ヒットした理由としては、まだ世間的に無名だった『Snow Man』目黒蓮が初見インパクトと相まって大反響を呼んだこと、そして、ろう者とのラブストーリーというわかりやすい感動ストーリーが若い女性に突き刺さったことがあげられます。

『恋空』や『世界の中心で、愛をさけぶ』の大ヒットとどこか通じるところがありますね」(芸能記者)

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しかし今回の『いちばんすきな花』はそれらとくらべるとかなり地味。それでも今期ナンバーワンヒットを達成している。

「『いちばんすきな花』の魅力は会話劇。共感性あるテーマと刺さる会話の連続で、若者を中心にバズっているようです。今期のドラマでは、『コタツがない家』(日本テレビ系)も会話劇。

また、TBS火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系)も、かなり滑りまくっているのはさておき、会話で視聴者を笑わせようと、ユーモアある風の会話やツッコミを心掛けています」(同・記者)

『VIVANT』のような作品を目指していく?

現役のテレビプロデューサーたちも、とにかく〝良い台詞〟を書ける脚本家を探しているという。

「特に新人発掘においては、面白い展開を描けることよりも、面白い会話を書ける人が採用される傾向にあります。

一方で海外ではシリーズドラマを制作する際、複数の脚本家が『ライターズルーム』という場に集い、共同執筆することが一般的。日本でも最近はこうした取り組みをまねようと、NHKやTBSが動き出している。

これはもちろん、台詞のブラッシュアップよりも、展開的な面白さを追求するための取り組みであります。会話劇の作品は、細かなニュアンスが大事になってくるために国内でしかウケない傾向が強く、海外を意識したスケールの大きな作品を作ろうとすると、やはり展開力の方を重視されるのでしょうね」(同)

展開力を重視したドラマ『VIVANT』(TBS系)はこれから、海外配信が本格化していくという。このドラマの反響次第で、日本ドラマ界の目指す方向も変わっていくだろう。

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