『ポケモンSV』のDLC商法はなぜ叩かれない? 炎上した『ドラクエモンスターズ3』との違い

『ポケモンSV』のDLC商法はなぜ叩かれない? 炎上した『ドラクエモンスターズ3』との違い

『ポケモンSV』のDLC商法はなぜ叩かれない? 炎上した『ドラクエモンスターズ3』との違い (C)PIXTA

『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(ポケモンSV)の有料DLC「ゼロの秘宝」の番外編が、2024年1月11日に配信されることが明らかとなり、ファンのあいだで歓喜の声が上がっている。

なぜ「ポケモンSV」のDLC展開はここまで成功を収められたのだろうか。

前作から始まった「ポケモン」のDLC商法

そもそも「ポケモン」シリーズでDLC商法が始まったのは、前作ナンバリングタイトル『ポケットモンスター ソード・シールド』(ポケモン剣盾)でのこと。2020年に第1弾「鎧の孤島」、第2弾「冠の雪原」として、ストーリーやポケモンが追加される有料DLC「エキスパンションパス」が配信され、この時にはファンたちに賛否両論を巻き起こした。

そして最新作『ポケモンSV』では、「ゼロの秘宝」というDLCの前編が2023年9月、後編が12月に配信されており、来年には番外編も登場するという。しかし「ポケモン剣盾」の時と違って、ほとんどのファンは好意的に受け止めているようで、《気持ちよく金を出せる》《DLC込みで最高傑作》《ゲーフリさんめっちゃポケモンSVを楽しませてくれてありがとう》といった声が続出している。

「ゼロの秘宝」は前編・後編・番外編まですべてセットになっており、一度買ったユーザーは通してプレイできる仕様。価格も3,500円と良心的で、魅力的なキャラクターやポケモンが登場することから、SNS上でも大いに盛り上がっていた。

ファンに歓迎されるDLC商法、叩かれるDLC商法

「『ポケモン剣盾』の頃よりDLC商法への批判が目立たなくなったのは、ゲーム業界の変化も大きな理由でしょう。今やほとんどのメーカーが当然のようにDLCを用意しているため、昔のように《本編を未完成品のままリリースするな》などと主張する人はもはや絶滅危惧種となっています。

『ポケモンSV』についても、多くの人は“本編の開発が間に合わなかったからDLCで補完した”とは思っておらず、単純に豪華なおまけが付いてきたという認識なのではないでしょうか。

とはいえ、現在でもDLC商法の炎上がなくなったわけではありません。叩かれるDLCと歓迎されるDLCの違いは、おそらく“納得感”の有無にあります」(ゲーム誌ライター)

たとえば最近では、12月1日にニンテンドースイッチで発売されたスクウェア・エニックスの『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』が賛否を呼んだ。

同作のDLCは「追憶のモグダンジョン」「エビ師範の修練迷宮」「時の無限ボックス」の3つが用意されており、本編を効率的に進めるためのモンスター集めやアイテム集めに役立つもの。しかし過去作では標準搭載されていたシステムがDLC化したこともあり、批判を呼んでしまったという。

「『ポケモンSV』のDLCは、ある程度独立した内容となっており、ちょっとした続編として楽しめる内容でした。それに対して、『ドラクエモンスターズ3』のように本編のやり込み要素を高めるためだけのDLCだと、どうしても課金を強いられている印象が強くなり、ユーザーの反発を招いてしまうのではないでしょうか」(同)

本編だけでなく、DLC商法でもメーカーのビジネスセンスが問われる時代に突入したようだ。

文=「まいじつエンタ」編集部

【画像】

StudioRomantic / PIXTA