2024年『呪術廻戦』は円満に完結できるのか?「主人公の活躍が少ない」「敵にだけ都合がいい展開」など火…

2024年『呪術廻戦』は円満に完結できるのか?「主人公の活躍が少ない」「敵にだけ都合がいい展開」など火種が多数

『呪術廻戦』24巻(芥見下々/集英社)

先日開催された『ジャンプフェスタ2024』にて、『呪術廻戦』の作者・芥見下々が2024年内での完結を匂わせたことが話題を呼んでいる。もしこの宣言が有言実行になるとすれば、激しい賛否両論を巻き起こすかもしれない。現状、ファンのあいだではいくつもの火種がくすぶっている状態だからだ。

※『呪術廻戦』最新話までの内容に触れています

もっとも大きな火種は、人気キャラクターたちの生死をめぐる扱い。主人公トリオで紅一点だった釘崎野薔薇は、特級呪霊・真人との戦い以来、ストーリーに一切登場していない。

「無為転変」の術式が直撃したことで、一度死亡したとされているが、生存を仄めかすような描写もあり、今のところ生死不明といった状態だ。

さらに現代最強の呪術師だった五条悟は、両面宿儺との戦いにおいて、身体を一刀両断されるほどの致命傷を負った。その後、先立った仲間たちと会話する走馬灯のようなシーンもあり、死亡したものとされている。

しかしあまりにあっさり退場したことや、唐突にキャラクター性がブレる言動があったことから、一部の読者からは「いずれ復活する」という説が続出してしまった。

野薔薇と五条はいずれも物語上重要なポジションを担っており、読者からの人気も高い。だからこそ「こんな扱いで退場するわけがない」という期待が蔓延しているようで、もしこのまま何も触れられずに物語が終了すれば、暴動でも起きそうな雰囲気だ。

かといって安易にキャラクターを復活させてしまえば、それはそれでご都合主義との批判を免れないだろう。ある意味、究極のジレンマに直面しているとも言える。

ただ、芥見が強く意識している『鬼滅の刃』の吾峠呼世晴や『チェンソーマン』の藤本タツキは、容赦なくキャラクターを切り捨てるタイプなので、ご都合主義で炎上するよりは暴動が起きる可能性の方が高いかもしれない。

『呪術廻戦』に円満な完結などない?

続いてこちらも大きな火種だが、ここ最近読者のあいだでは《主人公の活躍が少なすぎる》といった不満が相次いでいる。

同作の主人公といえば虎杖悠仁だが、もはやそのことを忘れ始めている人も多いかもしれない。虎杖は渋谷事変の後からめっきり出番が減り、死滅回遊では敵を倒す機会もほとんど与えられなかった。五条の敗北後には、宿儺のもとに急襲を仕掛け、ようやく活躍するかと思いきや、まともに相手にされていない。

一応パワーインフレに付いていけていないわけではなく、腕の変形など、強化されたような描写は見られる。しかしその力を振るう機会は一向に訪れておらず、宿儺との戦闘も日車寛見の術式頼りとなっているため、読者のフラストレーションが極限まで高まっているようだ。

宿儺からは攻撃を警戒されてこそいるものの、ほとんど眼中にないような扱いなので、この先挽回の機会がなければ不満を爆発させる人も出てきそうだ。

また3つ目の火種として、「敵にだけ都合がいい展開」もよく批判されている。主人公サイドが敵を追い詰めるたび、なぜか敵にだけ都合がいい展開が起きて水の泡……。そんな流れが多すぎると感じる読者が増えているようだ。

最近でいえば、九十九由基と羂索の戦闘が象徴的。九十九は捨て身でブラックホールを生み出したが、たまたま羂索が虎杖香織の肉体に刻まれていた「反重力機構」(アンチグラビティシステム)の術式を使えたため、生還を果たしたという展開だった。

また五条と宿儺の戦いでも、同じように“逆ご都合主義”が起きていると指摘する声が少なくなかった。円満な完結を迎えるためには、このあたりも上手く処理する必要があるだろう。

読者の関心を集めてやまない3つの火種。『呪術廻戦』が歴史に残る名作となるかどうかは、2024年の展開にかかっていると言っても過言ではないかもしれない。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ