「ONE PIECE」は連載会議で落ちまくり、尾田栄一郎と編集者がつぶれていた可能性も。元「週刊少年ジャンプ」編集長が回顧

YouTubeチャンネル『DESIGN ASSOCIATION npo』で3月11日に配信された『IMAGINEZ大学 with Discovery』に『週刊少年ジャンプ』の元編集長・鳥嶋和彦氏が出演。人気漫画『ONE PIECE』の連載開始にまつわる逸話を披露した。

(c)尾田栄一郎/集英社

鳥嶋氏は編集者として『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』の鳥山明氏などの新人漫画家を世に送り出し、漫画とゲーム、アニメのメディアミックスを推進した人物として知られる。

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当時『Vジャンプ』創刊編集長だった鳥嶋氏は、1996年に『週刊少年ジャンプ』編集長として復帰。ジャンプの要である新人の新連載がが出来ていなかった同誌復活のきっかけは、ある編集者と『ONE PIECE』だったという。その編集者は、一生懸命で見どころがあるのに態度や物言いが不評で編集部を出されることになっていたが、「だけど確かにこういう人を離しちゃいけないなと思って担当役員に止めてもらって人事を撤回させたんですね」と振り返る。この異動寸前だった編集者が立ち上げたのが新人・尾田栄一郎氏が描く『ONE PIECE』である。

ただ連載開始に至っては一悶着あり、「キャラクターも良いし勢いもある。ところが漫画の構成が分かりやすく作られていなくて読みにくいんです」と長所と短所を兼ね備えたと鳥嶋氏。議論を重ね3回目の連載会議で、2時間議論したという。鳥嶋氏はやり直しさせようとしたが、『ONE PICE』の編集チームのデスクから、これ以上突き返すと編集者も漫画家もつぶれると言われ、決断。「これだけ議論が真っ二つに分かれるっていうのは、一つの可能性だ。確かに全員が賛成しても当たらない漫画もたくさんある。それでやってみたんです。そうしたら、これが僕が少年ジャンプに戻って初めて新人の新連載で第1位を取ったんです。もうこれで救われましたね、本当に」と、英断を下した当時を回顧した。

参考:YouTubeチャンネル『DESIGN ASSOCIATION npo』

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