実写版『舞妓さんちのまかないさん』原作改変にツッコミ! 是枝監督が見た“花街の現状”とは

実写版『舞妓さんちのまかないさん』原作改変にツッコミ! 是枝監督が見た“花街の現状”とは

実写版『舞妓さんちのまかないさん』原作改変にツッコミ! 是枝監督が見た“花街の現状”とは (C)PIXTA

『週刊少年サンデー』で連載中の人気漫画『舞妓さんちのまかないさん』を原作とした実写ドラマが、1月12日よりNetflixで配信開始された。しかし原作とは違った方向性へと“改変”されていたことで、ファンの間で物議を醸している。

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原作ファンの不満が爆発!

同作は、京都で生きる舞妓の食生活にスポットを当てた漫画。舞妓が集団生活する「屋形」の料理番、キヨを主人公として、ほのぼのとした日々が描かれていく。

実写ドラマでは人気女優の森七菜と出口夏希を、ダブル主演に抜擢。そして監督・総合演出・脚本として、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したことも記憶に新しい巨匠・是枝裕和がクレジットされている。

だが、配信が始まってみるとネット上では《オリキャラや改変が多くて混乱する》《最後の最後でそこ変えちゃうんだ…ってなった》《原作大好きだからこそドラマの改変が悲しかった。キャラ改変が酷いのと、オリジナル要素が強すぎて名前を借りた別物だと思った》といった声が続出することに。

というのも実写ドラマ版では、原作にはないオリジナルキャラが多数登場。さらにストーリーに関しても、原作とは異なる点が多い。

舞妓の父親が娘を心配するあまり屋形に乗り込んだり、涼子が芸舞妓に対して批判的であったりと、“花街の文化”の現実的な問題に切り込む場面が増えているのだ。

監督は原作クラッシャー?

是枝監督は1月24日、自身の公式サイトに声明を掲載し、「舞妓さんちのまかないさん」の制作背景について語っている。

是枝監督は制作にあたり、花街に取材を行ったそうだが、当初は「否定的、懐疑的」なスタンスだったとのこと。

しかし伝統を時代の流れに合わせて改革しようとする人々がいることを知り、それに協力したいと思ったという。

祇園界隈を「ユートピア」として描くつもりはなく、「いつまでもは続かない限定的なものであり、だからこそ尊い」という価値観を描くことを意識しており、そのために花街文化に「批判的な目線を持つ人物」が登場するような形になったそうだ。

ちなみに昨年、奇しくも元舞妓だという人物が“花街の闇”をツイッター上で告発し、世間を騒がせたが、そのことが作品に直接影響することはなかったという。

おそらく是枝監督にとって、ドラマ化にあたり、花街文化を現代的な価値観で捉えなおすことは必要な過程だったのだろう。

その点を評価する人もいるものの、少なからず物語が“改変”されているため、原作ファンには賛否を招いてしまった形だ。

是枝作品といえば、同じく漫画原作である2015年公開の『海街diary』もオリジナル色が強かった。

そもそも改変するのであれば、最初から原作をつける必要もない気がするのだが、“大物監督による実写化”で箔がつくと思えばWin-Winの関係なのだろうか…。

文=野木

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Efurorstudio / PIXTA

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