『彼岸島』はコロナ禍の必読書!? 感染症・パンデミックの恐怖を描いたマンガ3選

『アイアムアヒーロー』1巻(花沢健吾/小学館)、『彼岸島』1巻(松本光司/講談社)、『BIOMEGA』1巻(弐瓶勉/集英社)

日本だけでなく、世界中で数多くの犠牲者を生み出している新型コロナウイルス。わずか1年で、人類は感染症の恐ろしさを思い知らされることに。“コロナ以前”の世界がいつ戻ってくるのか、誰にも予想できない状態だ。

これまで映画やマンガなどの創作物では、数えきれないほど感染症の大流行(パンデミック)が題材とされてきた。もしかすると、そんな作品にはコロナ禍に役立つ知見が含まれているかもしれない。今回は、さまざまなパンデミックのあり方を描いたマンガをご紹介していこう。

その1:冴えない人間から見た「非日常」──『アイアムアヒーロー』

『アイアムアヒーロー』1巻(花沢健吾/小学館)

『アイアムアヒーロー』は花沢健吾の手がけたパニックホラーマンガ。2009年から2017年にかけて『ビッグコミックスピリッツ』で連載され、実写映画化もされた人気作品だ。

作品の舞台は現代日本であり、登場するのもリアリティのある平凡な人々ばかり。しかしそこで描かれるのは、謎めいた奇病によって大混乱に陥る“非日常”の世界。鬱屈した自意識を抱えた35歳の男性・鈴木英雄の目線から、激変した社会の様子が映し出されていく。

奇病に感染した人々は「ZQN」と呼ばれ、まるでゾンビのような外見に。思考能力も奪われるようで、まともな日本語を話せなくなってしまう。また「ZQN」は見た目どおり狂暴であり、人間とはかけ離れた力を持っているのも特徴。彼らに噛まれた人間は、血液感染によってほぼ確実に発症に至る。

英雄は物語が始まって早々、最愛の恋人との別れを経験することに。その後、長きにわたるサバイバル生活においてさまざまな人々と知り合うが、悲しい別れや直視に絶えないような出来事が次々と襲いかかる──。

英雄はその名前とは裏腹に、あくまで冴えないおじさん。ド派手な冒険を行うわけではなく、むしろ危機的な状況下でも自意識をこじらせたまま情けなく生きている。だからこそ、その生き様を見て自分のことのように共感できる人は多いはずだ。

ネット上では、同作の魅力について《人はヒーローではなく、一般人に共感するんだなとアイアムアヒーローを読んでいて思った》《アイアムアヒーローはまじオススメ。妄想力しかない童貞には共感しかねえ》《最初は英雄を理解できないけど、ゾンビマンガだと明らかになった辺りでガラッと変わる。感情移入の過程にカタルシスがある》と評価する声が後を絶たない。