転売対策の“逆オークション”誕生! 賛否を呼んだその仕組みとは

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「転売」とは販売数が限られている商品を買い占め、定価よりも高値で売りさばく悪質行為のこと。転売を行っている人間は〝転売ヤー〟と呼ばれ、蛇蝎のごとく嫌われているのはご存じだろう。しかし最近、とある転売対策がネット上で激しい議論を巻き起こしている。

騒動の中心となったのは、ゲーミングデバイスの輸入品を扱っている代理店。ツイッターにて、『Ducky』というブランドの限定キーボード販売を告知したのだが、その販売方法が物議を醸すことになった。

キーボードはごく少量の取り扱いになるため、同ショップでは業者による転売を警戒。転売対策として、発売から日数が経過するごとに値段が下がっていく「逆オークション形式」を編み出したのだ。具体的な値下げの仕組みは、初日は4万9800円でスタートし、一営業日ごとに5000円ダウンしていく…というもの。1週間後には約半額の2万4800円まで下がるのだが、実はこの価格こそが本来の商品の定価だという。

転売対策を掲げつつ、定価より高値で競り合いがスタートする逆オークション形式に対し、ネットユーザーの多くが疑問を抱いたようだ。ネット上では《標準的な価格より高く売るならそれが転売やろ? 店が転売と同じ事して叩かれない方がおかしい》《転売ヤーがそこら辺の人から店の主人に変わっただけでは…?》《故意でなくとも悪質に感じてしまう》といった批判の声があがっている。

炎上が広まると、同ショップは逆オークション形式を中止。通常と同じ販売方法がとられることになった。

「転売」問題の本質はどこにある?

とはいえ、逆オークション形式に対する反応は批判一色ではなかった。《定価で販売して転売ヤーに買い占められるよりはマシ》《合理的な販売方法だと思ったので、逆オークション続けていいと思います》《全然いいでしょ。文句言ってる奴は資本主義経済を理解してないのかな?》などと、転売対策として評価する声もあがっている。

一般的に転売が嫌われるのは、「定価よりも高値になる」というシンプルな理由にもとづいている。そのため、スタート価格が定価よりも高い逆オークション形式は反感を買ってしまったのだろう。しかし転売が悪質だとされるのは、価格設定だけが理由ではない。数量が限られている商品を買い占め、他の消費者が購入する機会を奪ってしまうことが本当の問題点だと言える。通常の手段で買えなくなるからこそ、価格を吊り上げられた転売商品に手を出す人が現れるのだ。

そう考えると、逆オークション形式は必ずしも悪質ではないように思える。そもそも輸入品の限定キーボードは、誰もが購入できる商品ではない。特殊なノウハウがなければ手に入らない商品を仕入れた上で、それを定価より高値で販売するのは本当に悪なのだろうか?

ちなみに、魚市場や花市場には逆オークション形式とよく似た「下げ競り」と呼ばれる競売システムが存在する。こちらも徐々に価格を下げていく仕組みとなっており、業界内では当たり前のように受け入れられているようだ。今回はネットユーザーたちの逆鱗に触れてしまったが、逆オークション形式が転売対策として評価される未来もありえるかもしれない。

文=大上賢一

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