恋愛は贅沢?「低収入層は草食化する」結果が研究で明らかに…

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「アベノミクス」なる言葉が持て囃されたのも今や昔。賃上げやデフレ脱却は一向に実現せず、もはや不況が当たり前のような状態となってしまった。その影響は文化や社会にもじわじわと広がり、人々のマインドにも大きな影を落とすことに。最近では恋愛が「贅沢品」となったという説もささやかれている。

この問題を真正面から取り扱ったのは、1月22日放送の『ABEMA Prime』(AbemaTV)。番組では、世界中に広がる草食化についての研究データが紹介された。

東大が行った研究によると、恋愛には経済や雇用状況・収入が明確に関係しているとのこと。大規模な調査によって、「低収入・低学歴の人は恋愛に興味を抱かない」という傾向が浮き彫りとなった。

研究を手掛けた坂元晴香氏は、娯楽の多様化によって恋愛の優先順位が低下したことを指摘。その上で、収入や雇用状況との因果関係について言及し、「たとえば、年収200~250万くらいの人がそこから500万に上がったらとか、非正規雇用が正規雇用に変わったらとか、もしかしたらそれで恋愛に興味を持つ人が増えるかもしれない」と語っていた。

「低収入=生活に精一杯」は当然のこと?

この研究結果に対して、レギュラーゲストの「ひろゆき」こと西村博之氏は疑問を抱いたよう。「佐藤(ちひろ)アナが二次元好きで収入低かったとしても、異性はほっとかないと思うんですよ」「収入とかってよりも見た目の問題っておっきいんじゃないかと」「すごいイケメンとかすごい美女だけど、収入低いから交際してませんって人存在するんですか?」などと異論を唱えていた。

しかし、さまざまな要因を検討すれば、坂元氏の発言に説得力があることがわかるだろう。恋愛にかぎらず、人付き合いをする上で出費はつきもの。経済的な余裕がなければ、他人に構っていられず、自身の生活で精一杯になってしまうのは当然だ。ましてや結婚・出産による人生設計など、二の次になってしまう。

中高年の間でよく話題となる、「若者の○○離れ」というのも同じような現象だろう。多くの若者世代は、生活にいっぱいいっぱいで、ハイコストな趣味を楽しむ余裕がない。だからこそ車や映画・旅行などの娯楽が衰退し、比較的安価に楽しめるソーシャルゲームや動画サイトの鑑賞が隆盛しているのだ。ネット上では「若者の○○離れ」ならぬ、「金の若者離れ」という指摘も上がっている…。

まさに「貧すれば鈍する」を地で行く日本。人々の価値観がガラッと変化しないかぎり、この国に未来はない。

文=大上賢一

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