『あたしンち』のウィキペディアが怖すぎる!? 謎の怪文をガチ勢たちが徹底考察!

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「生のハンバーグを食べた後、〝全部が見えて、全部が聞こえる〟状態になったことがある」。これは、とあるウィキペディアの項目に書かれた文章だ。なんともスピリチュアルな印象で、ロックミュージシャンの逸話か何かにも見えるだろう。しかし実は、10年ほど前に大ヒットした日常系漫画『あたしンち』の項目に記された一節なのである。

2月28日、とあるネットユーザーが、ふとした拍子に見つけたこの怪文。「あたしンち」のキャラクター紹介の「お母さん」の項目に書かれていたものらしいが、記事全体の中であまりにも異様な雰囲気を放っている。怪文がツイッター上に投稿されると、2万「いいね」以上を稼ぐバズツイートとなった。

「あたしンち」の作中に、「生のハンバーグを食べた後、〝全部が見えて、全部が聞こえる〟状態になったことがある」回が実在するのだろうか…? そんな疑問を解決すべく、リプライ欄には全国の「あたしンち」ガチ勢が集結する事態に発展。有識者たちが記憶を振り絞り、膨大な数の「あたしンち」データベースの中から似たエピソードを探し出そうとした。

しかし、《あたしンち無印と新の両方2周見ましたけど思い出せませんね…》《読売新聞日曜版も読んでいたし、単行本も全部持っていますが、このお話は見たことがないですね》《あたしンち、全部ではありませんが大体600話ほど3周してる者です。生のハンバーグ…? 全く思い出せません》と、残念ながら該当する回は見つからなかったようだ。

この怪文は、つい最近追加された一文であり、記事の編集履歴に出典が記されていなかったため、イタズラ説が濃厚ということに。ガチ勢の奮闘も虚しく、ほのぼの日常漫画をめぐる珍事件はモヤモヤとする結末を迎えた。

本当の話でもおかしくない?

今回はイタズラという説に落ち着きそうだが、「あたしンち」には実際にファンからホラー回と認定されている回も存在する。アニメ版「あたしンち」1期の第166話『ユズ、藤野の家へ行く』は、「闇が深すぎる」と話題になったことがあるのだ。

「あたしンち」のメインキャラであるユズヒコには、いつも明るく元気な藤野という友人が存在する。同エピソードは、そんな藤野の家にユズヒコが遊びに行くというストーリー。ユズヒコが藤野の住む団地に到着し、玄関を開けると、そこは真っ暗闇で荷物が散乱していた。荒れ果てたリビングの中央には、藤野の弟がポツンと佇んでいる姿が。ストーブが家の事情でつけられないせいで、室内にもかかわらず厚着をしなければいけないらしい。そんな様子を見て、ユズヒコは友人宅の複雑な事情をいろいろと察してしまう…。

またアニメだけでなく、漫画版「あたしンち」の最終回も発表当時「怖い」と騒がれたことで有名だ。内容は突如「お母さん」が空を飛び始め、他のキャラクターたちの頭上をひたすら滑空し続けるというもの。このシュールでどこか虚無感のある終わり方は、《今までほのぼのだったのに気味が悪い》《もしかして作者は病んでしまったのでは…?》と物議を醸す結果となった。

思えば『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』をはじめ、大ヒットする日常系漫画にはどこかに毒があるもの。とはいえ、それも作品の魅力の一つであることは間違いないだろう。「あたしンち」が最終回を終えても話題にあがるのは、作品の奥に潜む毒が私たちを魅了するからなのかもしれない。

文=富岳良

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