『ONE PIECE』空島編は名作か駄作か… 注目ポイントは伏線とストーリー展開?

『ONE PIECE』98巻(尾田栄一郎/集英社)

1000話以上にわたる長大なドラマを描いてきた人気漫画『ONE PIECE』。その中でも「空島編」は、単行本24巻から32巻まで約9冊が費やされた長編エピソード。しかし雑誌連載時には不評の声が多く、「多くの読者が脱落した」というウワサもまことしやかに囁かれていた。

今でもネット上では「空島編」の評価をめぐって、ファンたちが激しい議論を繰り広げている。今回はそうした議論に終止符を打つべく、「駄作派」と「名作派」の意見をピックアップ。本当にこのエピソードが駄作なのか検証していきたい。

なぜ「空島編」は駄作と言われるのか

SNSなどで「空島編」についての批判を見てみると、《本筋はおもしろいのに引き伸ばしのためのいらんエピソードが多すぎた》《空島編、話は好きだけど間延びしてたのと戦闘周りがだいぶ退屈だった印象》《ダラダラとした間延びはこの辺から本格的に始まってる》といった声が目立つ。多くの読者が、エピソードの間延びを気にしていたようだ。

「空島編」は『週刊少年ジャンプ』2002年10号~2004年2号まで、約2年にわたって掲載された。かなり長期間に及ぶエピソードだったが、そのわりには他の章と比べてキャラクターの印象が薄い。ルフィが活躍する現代では、大戦士カルガラの末裔・ワイパー、大ボスであるエネルを除けば、印象的なキャラクターが出てこなかったのだ。

そう感じさせる要因となったのは、ひとえにエネルの部下である「神官」たちの存在感の薄さ。いきなり相手の動きを読む心綱(マントラ)を使いだしたと思ったら、森のサトリはルフィ・サンジ・ウソップの3人がかりで敗北、〝空番長〟ゲダツは自滅、〝スカイライダー〟シュラはワイパーにワンパン…などと、強いのか弱いのか何とも言いがたい倒され方をしてしまった。そのように見ると、サバイバルの場面はもっと短縮して、エネルとのバトルシーンをより丁寧に描いてもよかったのかもしれない。

「空島編は名作」という人の意見は?

他方で、「空島編」を名エピソードと評価する人も少なくない。具体的には《ノーランドの過去編がいい。「鐘を鳴らして君を待つ」で泣く》《鐘を鳴らしつつ、エネルをぶっ飛ばすカタルシスがやばい!》《ハリボテの家と巨人の影を回収するのも天才》といった意見が見受けられる。巧妙な伏線やドラマチックなストーリー展開によって、高く評価されているようだ。

ノーランドの過去編では、彼がシャンディアの大戦士・カルガラと出会い、紆余曲折を経て唯一無二の友になっていく様が描かれる。絵本ではまるでサイコパスにしか見えない「うそつきノーランド」が、実際は屈強かつ頭脳明晰な植物学者だとわかっていき、度肝を抜かれる…という仕組みだ。

過去編でカルガラが放った「鐘を鳴らして君を待つ」という叫びは、作中でも1、2を争うほどの名ゼリフ。そして「空島編」のラストシーンでは、高らかな鐘の音が鳴り響き、地上へと降りていく麦わら海賊団の面々を送り出す…。長いタメがあったからこそ、こうしたシーンのつながりがより強く読者の心を打ったのではないだろうか。

連載時には自由なスピードで読み進められなかったものの、単行本で読めば一連のストーリーをストレスなく享受できる。だからこそ、後追いの読者ほど「空島編」が駄作と呼ばれることに違和感を覚えるのだろう。逆に言えば、「空島編」の評価は今後さらに高まっていくことが予想される。

もちろん作品に対してどんな評価を下すのも、読者による自由。他人の評価に惑わされたくない人は、あらためて自らの価値観で「空島編」を読み直してみてほしい。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ
■『ONE PIECE』98巻(尾田栄一郎/集英社)

【あわせて読みたい】