『バンドリ』に客が流れた? 元祖バンドアニメ『けいおん!』がオワコンになったワケ

『バンドリ』に客が流れた? 元祖バンドアニメ『けいおん!』がオワコンになったワケ

『バンドリ』に客が流れた? 元祖バンドアニメ『けいおん!』がオワコンになったワケ (C)PIXTA

『BanG Dream!』や『SHOW BY ROCK!!』など、バンドをテーマとしたさまざまな人気作品が存在するアニメ業界。そのバンドアニメの元祖と言えるのが、京都アニメーション制作のTVアニメ『けいおん!』である。当時は社会現象にもなり、とてつもない人気を博した作品だが、最近では存在が完璧に忘れ去られているようだ。

「けいおん!」は、月刊漫画誌『まんがタイムきらら』などで連載された作品。主人公の平沢唯が廃部寸前の軽音楽部に入部し、秋山澪や田井中律、琴吹紬といった仲間たちとバンドを結成する物語だ。2009年にTVアニメが放送されると、女子高生のゆるふわな日常とカッコいい音楽を併せ持った作風から大ブームに。2011年12月にはきららアニメ初となる劇場版が公開され、観客動員数が100万人を超えるほどのヒット作となった。

また、「けいおん!」はアニメとして高い評価を受けただけでなく、楽曲のクオリティーにも定評が。第2期の主題歌である『GO! GO! MANIAC』と『Listen!!』は、それぞれオリコンチャートの1位と2位を独占したが、これはアニメソングとしては初の快挙だったという。

さらには、同作をきっかけに世間でバンドブームが勃発。軽音楽部への入部希望者が殺到したり、作中で使用された楽器と同じモデルが売れまくるなど、若者に多大な影響を与えた。グッズやタイアップ商品などの売れ行きも凄まじく、その市場規模は150億円以上に及んだと報じられている。

あれから10年… 止まらない“オワコン”化

一躍社会現象となった「けいおん!」だが、その栄光は長くは続かなかった。唯たち上級生が高校を卒業するという展開で、2010年9月に原作の連載が終了。それから大学生編にあたる『けいおん! college』、中野梓たち在校生が活躍する『けいおん! highschool』の連載が立ち上げられたが、いずれも前作ほど話題にならなかった。

最終的には1年余で連載終了を迎え、2018年からは『まんがタイムきらら』で新たな主人公を据えて再起を図った『けいおん! Shuffle』が連載されている。しかしかつての人気には程遠く、メディアミックスの気配もほとんどない。

近年ほぼ唯一「けいおん!」関連で話題になったことといえば、2019年の『Animelo Summer Live 2019 -STORY-』が挙げられる。作中ユニットの「放課後ティータイム」が1夜限りの復活を果たし、『Don’t say “lazy”』と「GO! GO! MANIAC」を披露したのだ。往年のファンたちは、粋なサプライズに沸き立っていた。

しかしこの2つの楽曲は、実は「BanG Dream!」のスマホアプリ『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』でカバーされている。そのため、《この曲バンドリのやつだ!》《またバンドリの曲じゃない? この人たちバンドリに頼らないと曲ないの?》などと騒ぎ立てられることに。「けいおん!」がいわゆるオワコンになったことを揶揄するネタなのかもしれないが、当時のファンからしたら寂しいものだ。

昨今の美少女バンドものは、ほとんどがアニメや漫画だけでなくスマートフォン向けのリズムゲームなどを展開するのがお約束。「けいおん!」は先駆者としてバンドアニメのフォーマットを作ったものの、その後の時代の流れから脱線してしまった節がある。また、そもそも物語の起伏が少ない「日常系」は賞味期限が短い…という根本的な問題もあるかもしれない。

もちろん京都アニメーションが制作しているだけあり、アニメのクオリティーは今見てもピカイチ。いつかリバイバルブームが起きる日がくることを信じたい。

文=大上賢一

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