「日銀がタモリを提訴」とFacebookに掲載。なりすまし詐欺広告被害多発でも“他人事”なメタ社の異常

4月25日、神戸市などに住む男女4人は、FacebookやInstagramで、実業家の前澤友作氏など有名人を騙り投資呼びかける「なりすまし詐欺広告」をきっかけに金銭をだまし取られたとして、神戸地裁にメタ社の日本法人を相手取り、損害賠償を求める訴えを起こした。メタ社の対応が遅れる中、「なりすまし詐欺広告」の被害は増加の一途をたどっている。

タモリのなりすまし詐欺広告

前澤氏も4月10日、なりすまし詐欺広告に対する規制強化を求め、自民党の部会に参加。またX(旧Twitter)でも、「詐欺行為を働く反社会的勢力から金銭を受け取って詐欺広告を表示し、詐欺行為を幇助しているメタ社は反社会的企業と見られてもおかしくない」とつづり、「そこに広告を出す企業側の倫理観も求められ、今後多くの企業がメタ社プラットフォームから広告を引き下げる可能性がある」と批判した。

しかし、同部会に参加したメタ社のアジア太平洋地域公共政策統括のサイモン・ミルナー氏は「詐欺との闘いに真摯に取り組んでおり、今回、会社の取り組みについて話す機会をいただけたことをありがたく思う」と他人事だったことは記憶に新しいだろう。

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ほか

そして、ついにFacebookでタモリのなりすまし詐欺広告が発見された。内容は『徹子の部屋』にゲスト出演したタモリが、簡単に金儲けができるツールを暴露し、日本銀行に訴えられたというもの。Yahooニュースを模したデザインになっており、本当のニュースだと勘違いをさせてしまう悪質極まりない作りになっている。もちろん、『徹子の部屋』でそのようなトークが繰り広げられた事実はない。

このタモリの「なりすまし詐欺広告」は、2024年5月に編集部員のFacebookで確認されたが、遅くとも2024年3月から展開されているようだ。メタ社は訴訟も抱える中で、どのような考えでこの広告をOKにしているかと広告業界からも怒りの声が挙がっている。

「20年近く業界にいますが、ここまで悪質なものはなかなか見ないですね。著名人を使ったなりすまし広告が作られていること自体も問題ですが、メタ社が広告の審査を怠っていることが大問題です。Yahooのロゴが使われていることは一目でわかるのに掲載を許可している。Yahooにも迷惑をかけているわけです。自分たちが儲かれば、他社のプラットフォームに迷惑かけてもいいと思っているのか。流石に許せません」(業界関係者)

なお、EUは4月30日、メタ社に対し、偽情報や詐欺広告への対策が不十分で法律に違反している疑いがあるとして、調査を開始。前澤氏はメタ社に対し「日本なめんなよマジで」と投稿したが、まさにその通りだろう。前澤氏や堀江貴文氏を始め多くの有名人・著名人がなりすまし詐欺広告に使われているが、この異常事態はいつになったら改善されるのか。早急な対策が求められる。

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