細田守はアニメファンから嫌われた…? 溝を生む“家族愛”の描き方

細田守はアニメファンから嫌われた…? 溝を生む“家族愛”の描き方

細田守はアニメファンから嫌われた…? 溝を生む“家族愛”の描き方 (C)PIXTA

新作映画『竜とそばかすの姫』の公開を記念して、7月2日から『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で「3週連続 細田守SP」が放送された。アニメ監督・細田守の代表作として『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『サマーウォーズ』の3作品が流されたのだが、〝細田嫌い〟のアニメファンからは阿鼻叫喚の反応があがっていた。

とくに不快感を表明する声が多かったのが、細田にとって4作目の長編映画である「おおかみこどもの雨と雪」。同作は大学生の花が〝おおかみおとこ〟に出会った後、若くして夫と死別するところから始まる。作中では花が〝おおかみこども〟の雪と雨を産み、シングルマザーとして生きる様が描かれていく。

細田がつねに取り組んできた「家族」というテーマを掘り下げた作品なのだが、多くの視聴者は花が体現する母親像に苛立ちを覚えてしまったらしい。ネット上では《母像があまりにも都合がよすぎると思いました。自己犠牲を甘んじて受けるのが母みたいな。聖母的な幻想を抱いているなー》《女性や母親に幻想抱き過ぎて見ててつらいし、登場人物みんなイラつくなと思ってた》といった意見が並んでいる。

現代で共感されるのは絆より孤独?

さらに「おおかみこどもの雨と雪」では、社会と地続きな場所で成立する「家族」という関係性が大きなテーマとなっていた。これは細田が『サマーウォーズ』の頃から取り組んできた主題であり、とくに脚本を自身が手掛けるようになってからはより前面化しているように思われる。

しかし今の世の中では、少子化が進み婚姻率も低下しており、社会や家族と馴染めない悩みを抱える人が多くなっているのが現状。多くのアニメファンが細田作品に拒絶反応を示すのは、そうした背景があるためかもしれない。

実際に、「おおかみこどもの雨と雪」で描かれた家族像について《ああいう理想の家族愛ものって本当に無理。現実見て》《家族の在り方が一切理解できないところが苦手》《たぶん家族・絆・伝統・田舎最高みたいな細田守の思想がキモすぎて無理なんだよな…》と嫌悪感をあらわにする声も散見される。

その一方、家族像について細田と正反対の作風を貫いてきたアニメ監督も。『君の名は。』や『天気の子』などのヒット作を連発してきた新海誠だ。新海は家族を通して社会に溶け込むどころか、共同体から断絶された孤独な人物を描くことが多い。そのため社会や人間関係での孤立に悩む人の心に刺さりやすい。結果として、新海作品を熱く支持するアニメファンが急増しているのだろう。

7月16日から公開が始まった細田の最新作『竜とそばかすの姫』では、仮想世界を通じた人と人とのつながりが描かれている。果たしてこの作品は、アニメファンから共感を得ることができるのだろうか…。

文=野木

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gladkov / PIXTA

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